
はじめに
こんにちは!バイセルのテクノロジー統括本部 開発2部で、バックエンドエンジニアをしている町田です。
バイセルでは「AI席食堂」という生成AI関連のナレッジシェアの取り組みを行っています。
本記事ではこの取り組みの詳細と、そこから得られた知見についてご紹介します。
バイセルのAI活用の現在地
バイセルではAIの活用に対して、さまざまな施策でチャレンジをしています。
一つに、全社に向けて「生成AIガイドライン」を策定しています。生成AIのリスク、そしてそれを回避するためのルールを制定することで、安心・安全な利用環境を整備しています。
また、全社向け生成AI基盤として「BuySell Buddy」を構築・提供しています。日々の業務をサポートする「成長するAIパートナー」をテーマにした、専用のAIアシスタントです。SlackとWebから利用でき、社内のドメイン知識に特化したRAGを構築しています。Slackのワークフローと合わせて活用することで作業の自動化を行うなど、生成AIの新たな活用に挑戦しています。
加えてBuddyでは定期的に新機能をリリースしています。Google Workspaceとの連携、Deep Researchモードやレポート作成機能といった業務をサポートする機能を追加しています。またNano Bananaによる画像生成機能や、Google/OpenAI/Anthropicなど、各ベンダーのモデルを利用できるオプションを作成するなど、様々な技術を積極的に採用しています。
さらに、これらの取り組みを全社に広げるため、AI推進グループを設置し、事業部の方々に対して生成AIの実務活用ノウハウを共有しています。希望者向けには、生成AI活用研修を展開しており、実例を取り入れた具体的なノウハウを対面研修でお伝えしています。NotebookLMなどの外部ツールの利活用についても、積極的に共有を行っています。
同時に、生成AI関連ツールへの全力投資方針を掲げており、導入ツールの費用補助を行っています。実際に、Devin/Cursor/Claude Code など複数のツールを、エンジニアが日々の実務で活用しています。
そのほかにもテック組織独自の取り組みとして、「Tech AI Hackathon」を開催しています。Tech AI Hackathonでは生成AIの活用を主題に、MCPサーバーの開発などに挑戦しています。詳細については、過去の記事もご参照ください。
AI活用推進の課題
生成AI活用を進める中で、開発におけるAIの利活用は増えています。2025年2月に行ったDevin/Cursorの導入を皮切りに、Claude Code/CodeRabbitなど、本格的な生成AIツールの利用が始まりました。生成AIツール導入後、PRの数が増えており、その効果を実感しています。

一方で、生成AI関連の情報・ナレッジの属人化が徐々に課題として浮かんできました。生成AI関連の情報のスピードが速く、エンジニアがそれぞれに活用方法を工夫している状況です。日々、個々人がキャッチアップしたものを、それぞれで業務に活かし生成AIの可能性を探究している形です。
このような状況で、いかに個人が持っているナレッジを、チーム・組織に還元していくのかが課題でした。また、中には言語化が難しいような工夫もあり、ノウハウ共有がなかなか進みませんでした。そこで取り組みとして始めたのが、「AI席食堂」です。
AI席食堂の狙い
AI席食堂は、個人が有しているナレッジをチームに共有する場として企画しました。
特に以下のような問題意識にフォーカスをしています。
- 生成AI関連の情報は早く、カバーしきれない
- 当たり前と思っていたが、他の人は知らないような暗黙知が多い
これらの問題を解決するために、AI席食堂では実務を通じた共有形式を採用しています。
つまり、実際にエンジニアにデモンストレーションをしてもらう形です。資料の作成はなく、発表者にはライブコーディング的に作業をしてもらいます。そこに参加者が、「今のなに?」「どうしてそうしたの?」などと、ツッコミ・質問をしてもらう形式です。
画像のように、画面をGoogle Meetで共有してもらい、作業をしてもらっています。

こうした実務を直接共有することで、言語化されていない・できないようなナレッジを還元することを目指しています。「当たり前と思っていたが、他の人は知らないような暗黙知」となっているテクニックを重点的に発掘し、AIの活用を促進することを目指しています。
より多くの人に参加してもらうため、お昼休みに合わせて開催しています。ランチと一緒に、AIの情報について語り合う会として位置付けています。
共有されたナレッジ
ここからは、実際にAI席食堂での取り組みの内容を2つほど紹介します。
difitを使ったコードレビュー
一つ目はdifitによる、生成AIの成果物のレビューです。difitはyoshiko-pgさんが開発しているOSSです。
difitでは、ローカル上でコードレビュー環境を提供してくれます。画像のように、GitHubに近しいUIでコードレビューを行うことができます。

バイセルでは生成AIの成果物のレビューのために、GitHubを利用しているエンジニアが多くいました。具体的にはGitHubにdraft PRを作成し、生成AIの成果物をレビューする形式です。その際に修正箇所を、生成AIツールに伝えるのに手間がかかっていました。レビュー対象のファイルの相対パスを取得した上で、行数を指定するなど個々で工夫をしていました。
このような生成ツールの成果物のレビュー・品質保証作業にdifitは効果的です。

画像のようにGitHubのPRにコメントするような形で、生成AIツールへの修正指示を記述することができます。この内容はdifitの画面上からクリップボードにコピーすることができ、生成AIに内容を伝えることが可能です。これにより、GitHubのdraft PRを作る手間がなくなり、生成AIに内容を伝えるために細かい情報を作成する手間が大幅に減ると、エンジニアから反響がありました。
障害報告書作成支援MCPサーバー
2つ目は、障害報告書の作成を支援するMCP(Model Context Protocol)サーバーです。これは社内エンジニアが作成したMCPサーバで、障害対応に集中するため、障害報告書の作成支援をしてくれます。
以前までは、障害対応とともに手動での報告書作成に多くの時間を取られており、本来注力すべき改善策の検討に十分な時間を割けない状況がありました。
このMCPサーバーを使うことでタイムラインの作成などが効率化され、障害報告書の叩き台を素早く作成できるようになりました。報告書作成の負担を軽減し、エンジニアがより本質的な業務に集中できるようになっています。
AI席食堂の取り組みの結果
現在、AI席食堂は6回開催しています。毎回、十数名のエンジニアが参加しており、継続的な参加者による活発な交流が実現しています。
参加者からは、「意外な発見が多く、学びが多い」という感想をもらっています。中でも、周辺ツールやモデルごとの細かい差など、追うことが難しい情報を知れる点が好評です。
AI席食堂の今後
AI席食堂の取り組みから得られた知見をもとに、生成AIを使った開発生産性の向上を目指していきたいと考えています。
そのために、AI席食堂のナレッジシェアの輪を広げたいと思っています。現状では、知識の共有が参加した人だけに限定されています。これをエンジニア全体に、ナレッジを共有できるような基盤づくりを今後進めていきたいです。
その第一歩として、議事録を入れ込んだNotebookLMを作成しています。しかし、共有された知識の明文化や、その共有のアプローチまでは至れていません。今後はより多くの人を巻き込み、生産性向上に寄与できるような共有の仕組みを構築していきたいです。
まとめ
AI関連の属人的な知識のシェアの取り組みとして、「AI席食堂」を開催しています。実際の作業の様子を見ることで、言語化しきれていない知識・暗黙知を共有する場を実現しました。
今後も、AI時代に適応するために、知識の積極的な共有を進めていきます。エンジニアとして最先端のAI技術に追従し、組織全体の生産性向上を目指すバイセルのテック組織に興味のある方は、採用情報をご覧ください。