バイセル Tech Blog

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スクラムに慣れてきたら考えるべきこと

こちらは バイセルテクノロジーズ Advent Calendar 2021 の6日目の記事です。

前日の記事は尾沼さんの CircleCIで構築されたCI/CD環境をGitHub Actionsに移行した際のポイント でした。

こんにちは。CTO室のなおとです。

CTO室ではエンジニアリング組織に関する様々な活動をしていますが、その中でスクラムマスターとしてプロダクトチームを支援することがあります。

先日は スクラムを始める時にやっていること を書きましたが、スクラムを始めて10スプリント(3ヶ月弱)もすると大抵のチームはスクラムのやり方に慣れてきます。記事の中に書いた「いい感じ」のフェーズです。

今回はそんな状態からさらにチームを高めるために考えるべきことを紹介します。

スクラムをやること自体が目的ではない

前提として、スクラムによるプロダクト開発によって本来成し遂げたいことは「ユーザへの価値提供」と「事業貢献」です。スクラムはその枠組みによって不確実性のコントロールとフィードバックサイクルの構築をしているに過ぎません。

しかし、スクラムに慣れてくると普段の開発の営みの中での課題は一見すると目につかなくなるため、その思考の枠組みのままのスクラムで検査と適応を繰り返しても本来のゴールとのギャップや潜在的な課題に気が付けないことがあります。

そこで、そんな時に考えるべきリフレーミングをするためのアプローチを紹介します。

チェックリストを使って検査する

ryuzeeさんによる スクラムチーム用セルフチェックリスト や日本CTO協会が公開しているDX Criteria簡易診断 は、簡単にチームのスクラムや組織のアジリティの状態を知ることができるのでおすすめです。

前者はスクラムの基本をチェックすることでスクラムの習熟度を確認でき、後者は経営や組織の観点といったより高い視座から見たときにスクラムが機能しているのかを確認できます。

自分もチームがいい感じになったと思った時にやってみて、想像していたよりもできていないことが多かったため落ち込みました。しかし、課題が明確になることでその後のチーム運営にとても役立ちました。

プロダクトオーナーやステークホルダーと対話する

スクラムに取り組んでプロダクトオーナーと開発者が一緒にレトロスペクティブをやっていたとしても、議題を取り上げるルールや職種の人数比率から扱うトピックが開発者目線のものが多く、プロダクトオーナーにとっては状況が好転していないという状況も見受けられます。

また、ステークホルダーと対話をすると普段の業務の視野では見えていなかった課題が出てくることがあります。エンジニア以外の経営、セールス、マーケティング、デザイン、QA、CSなど、実は手間をかけて準備や対応してくれていることがあったりします。そしてそれらは業務プロセスを全体から見直すことで改善したり、エンジニアによって自動化できることだったりもします。

例えば、スプリントレビューでデモをした機能の内容をプロダクトオーナーが別途まとめて経営層にレポーティングしたり、ステークホルダーがユーザーにアナウンスするための文面を作成している場合、エンジニアのPull Requestのテキストをまとめて共有することでより正確により早くアウトプットすることができるかもしれません。

しかし、これらをスクラムに慣れた開発者が多いMTGで「情報共有をしてください」「課題があれば挙げてください」とアジェンダに設定をしても意見を出すのは難しいと思います。経験則として価値がないと自身でフィルタリングをしていたり、そもそも課題と認知していないことが多いからです。

まずは1on1や雑談から気軽に話をしてみて「最近はこんな感じの仕事をしている」「実はこんなことに困っている」というのを聞いてみましょう。最初は開発者の担当領域ではないと思うかもしれませんが、視座を高くした時にエンジニアリングによって解決できる課題も多いはずです。

他のチームと情報共有をする

スクラムは実際にやってみると具体的なやり方はチームによって千差万別です。事業ドメイン、ビジネスモデル、プロダクト、メンバーによって特徴が出ます。スプリントを繰り返す中で試行錯誤した結果、スクラムイベントのアジェンダも大体異なります。

社内の他のチームの取り組みが自分たちのチームにそのまま適応できるとは限りませんが、理由と合わせて取り組みを聞いたり、自分たちのチームの取り組みを整理して説明することで知見の共有やリフレーミングにつながります。社内ドキュメントに取り組みをまとめてみるのも良いキッカケになるかもしれません。

カンファレンスや勉強会などの社外の情報や交流でも学ぶことが非常に多いです。

他のメンバーと一緒にチームの外との交流を増やしてみましょう。

チャレンジングな目標を掲げる

課題というのはあるべき姿と現在のギャップです。ここまで挙げた取り組みをした上で、最終的にはチームで高い目標を立てなければなりません。外部から設定されるのではなく、メンバーの内発的な動機となるようなチャレンジングな目標を立てることが重要です。

目標を設定することで次にやるべきことも明確になってきます。

最終的に成し遂げたいゴールとそれにアラインした目標を設定し直すことが、スクラムの踊り場から抜け出してより高い水準のチームになるためには必要だと思います。

まとめ

スクラムに慣れてきたら考えるべきこととして、リフレーミングをするためのアプローチを紹介しました。

自分もできていないことの方が多いので、定期的に思い出してリフレーミングをしていきたいと思います。

バイセルではエンジニアリング組織の課題に向き合う仲間を募集しています。 herp.careers

明日の バイセルテクノロジーズ Advent Calendar 2021 は浅香さんの「Elasticsearchの導入にあたって考えたこと」です。お楽しみに