テクノロジー戦略本部の渡辺です。
弊社のblogにも度々登場していますが、今年の4月に弊社は株式会社バンクが運営する『CASH』というサービスを事業譲受しました。
私はそのCASHを運営するチームでディレクション・マネジメントを行っています。
今回はそのCASHの移管とサービスの改修内容、今後の展望についてお話ししようと思います。(予め謝罪しておきますが、技術の話は一切しないです。それはまた別の機会に…)
CASHとは
CASHは2017年6月28日に株式会社バンクがサービス開始したアプリ買取事業です。
写真をとるだけでアイテムの価格が表示され、納得できたら即換金。換金したアイテムは2週間以内に発送すればOKというシステムです。
通常の買取アプリと違い、モノを送ることなくお金を獲得できるという点で当時幾度となくニュースに取り上げられていた記憶があります。
なぜ移管したのか
手軽に買取りができるCASH(入口)と、リユース事業ならではの販路を持ったバイセル(出口)は非常に親和性が高いと思っています。
また、バイセルは出張買取を主流としており、対面での査定を得意としていますが、webでの買取が主流な方にはどうしてもアプローチが弱いということもあり、その不得意だった面を取りに行く武器のひとつとしてCASHは最適でした。
移管してみて思った主な課題
CASHというサービスは本当に素晴らしいです。他の買取アプリには全くない新しい体験を提供してくれます。
ただ、その革新的なシステムの裏に、いくつかの課題が見受けられました。
主な課題としては以下が挙げられます。
- 値付けの精度
- 不正利用が多い
- 買取単価が低い
値付けの精度
CASHは写真をとった際に値段が提示されることがサービスの特徴ですが、その値段についてはアイテムの種類や状態(コンディション)、購入時期などによって機械的に提示されていました。
値付けの精度をあげるためにはお客様のアイテムの状態や市場の相場など考慮すべき情報が非常に多く、バイセルのような買取実績もない中での値段提示なので、精度としてはとても高いと言えるものではありませんでした。
なにより、愛着のある品をシステムのロジックで値付けされるという点で不満に思った利用者は多いのではないでしょうか。
不正利用が多い
モノを送る前に換金できるというシステムを利用した不正が横行していました。
写真にとったものとは別のモノ・空箱を送ってきたり、アイテムの状態を実物よりは良く選択(虚偽申請)したり、中には手元にはないネットの画像を撮影するなど、とてもまともなサービス状況ではなかったです。
買取単価が低い
CASHはアプリなので、やはりネットリテラシーが高い年齢層(20~30代)の利用が多かったです。そのため、買取実績の内訳としてはカジュアルなアパレルブランドが多く、ブランド物やジュエリーなど高額なモノは少なく、なかなか利益には繋がりづらい状態でした。
課題解決のために行ったこと
値付けの精度の改善
バイセルといえば着物という印象が強いかと思いますが、実はそれ以外にも様々な商品を取り扱っています。
その実績をCASHにも当てはめて、精度の高いプライシングを実現しています。
また、一部商品においては、AIによる値付けを行っていたり、より高額な値段が期待できる商品については、専門スタッフが実際に目で見て値付けをするという『専門査定』などを導入しています。
不正利用の改善
即金がCASHの売りということを先ほどお伝えしましたが、バイセルに移管してからはあえてそこを捨てるという判断をとりました。もちろん、その部分に関しては今もなおお客様からご不満、お叱りを受けることが多々ありますが、不正利用については限りなく0に近い状態にはできました。
ちなみに原宿のベースヤードトーキョーでは、店舗で写真撮影、キャッシュにするとPAL CLOSETのポイントがその場でもらえる『おみせdeCASH』というサービスがあります。こちらについては対面での査定になるので即金となっており、CASHは状況に合わせて、様々なサービス形態を行っています。
買取単価の向上
専門査定の導入によって、高額な時計やブランドバッグを取り扱えるようになりました。実際に店舗にいくことなく専門スタッフが素早く査定するため、お客様からご好評いただいています。
また、別のアプローチとしては、『まとめて査定』というものを導入しました。
CASHの写真を撮るだけで値段がわかるという部分は非常に素晴らしいのですが、数多くの商品を送りたいお客様には煩わしさも伴っていました。
そのため、写真を1点ずつ撮影するのではなく、段ボールに送りたい商品を詰めて、その段ボールの写真をとって送るだけ。バイセルへ荷物が届いたら、その商品をひとつずつ丁寧に値付けするという『手間をかけずにまとめてもモノを売りたい』という需要に応える機能を導入して、一人あたりの買取単価を向上させました。
今後の展望とまとめ
CASHは運営移管してまだ1年も経っていません。
この8ヶ月でCASHアプリ単体での改善はある程度行ってきましたが、課題をコツコツ改善して目に見えてKPIが改善されるのはサービス運営者としては楽しい時間ではないでしょうか。
ただ、そうした目先の課題の解決だけではなく、弊社が得意とするオフラインでの取り組みであったり、CASHのさらなる事業形態の追加など、やるべきこと・やれることは大小によらず数多くあります。
そうしたCASHの取り組みを推進すべく、バイセルテクノロジーズではともにチャレンジしていただける方をお待ちしております。