はじめに
バイセルテクノロジーズ取締役CTOの今村 @kyuns です。この記事は「バイセルテクノロジーズ Advent Calendar 2024」の25日目の記事です。 昨日は馬場さんによる
この記事ではバイセルテクノロジーズのエンジニア組織に関する2024年の取り組みについていくつかピックアップして紹介していきたいと思います。
会社全体に関して
2024年はバイセルにとって、非常に大きな経営の変化があった1年でした。
1.社長交代
一番大きかった変化は4月に新しく徳重社長を迎え、新経営体制へと移行したことです。徳重社長入社後は、「人の成長」を中心としたマネジメント層への教育や、人事制度の刷新など、バイセルが今後よりスケールして大きくなっていくための改革をいくつも進めており、早速成果が出始めてきています。
2.二度の決算上方修正
昨年は非常に苦しい時期が続きましたが、今年に関しては様々な対策を打ってきたおかげもあって、業績に関しては非常に好調に推移しました。結果、各四半期決算において、2回の上方修正をすることができ、バイセルグループとしては大きな成長を遂げることができました。
3.過去最大のM&A
M&Aも2件実施させていただき、「買取むすび」を運営する株式会社むすび、そして「福ちゃん」を運営する株式会社REGATEを含むレクストHDがバイセルグループに仲間入りしました。
バイセル、「買取むすび」を運営する株式会社むすびを子会社化 | 株式会社BuySell Technologiesのプレスリリース
総合リユースのバイセル、「買取 福ちゃん」運営企業を含むリユース企業計7社を有するレクストHDを子会社化 | 株式会社BuySell Technologiesのプレスリリース
出張訪問買取業界シェア第二位の福ちゃんのM&Aということでリユース業界に大きなインパクトがあったかと思います。結果としては出張訪問領域に関してはバイセルおよび福ちゃん合わせて、非常に多くのシェアを占めることになりました。また、むすび社のM&Aによって、店舗に関してもグループ会社合わせて全国約370店舗以上となり、バイセルグループとして大きな成長につながるM&Aを実施することができました。
事業(プロダクト)
1.リユースプラットフォーム「Cosmos」の進化
バイセルが掲げるリユースプラットフォームのCosmosですが、こちらも新しくフェーズを定義し、ロードマップを引き直しました。そして、そのロードマップに添う形で、各プロダクトの開発が大きく進みました。
2.出張訪問を支えるプロダクト「Visit」のリリース
バイセルの主力事業である出張訪問買取を効率化するプロダクト「Visit」がついにリリースされました。今では数百名を超える全国の査定員がVisitを利用し、効率的な査定/買取を実現しています。
Visitは以前のシステムと比較して、業務フローに適したUI/UXを実現しており、導入効果としてもアンケートで9割以上の査定員が使いやすさを実感できていたり、トレーニング期間が1-2日と劇的に短縮されたことや、査定時間が短縮されている効果等でています。また、通常システム入れ替えを行うと、直後は各種KPIに悪影響がでたりするのですが、Visit導入の場合は、導入後も粗利目標も大きく達成するなど、非常に良い滑り出しが実現できています。
3.出品管理を支えるプロダクト「EXS」のリリース
各種モールや自社ECに出品する商品の受注/出品管理を行うプロダクト「EXS」が2年以上の開発期間を経てリリースされました。通常我々の商品はリユース商材であり、すべて一点ものとなっています。そのため複数のモールに出品した場合、どこかのECサイトで購入されると残りのモールから自動で落とさないといけません。そのような処理を自動で行ったり、各モールでの受注データを取り込んだりして、受注管理を一括でできるプロダクトとなっています。
また既存のOMSと比較して、独自ビューや予約機能、出品パフォーマンスが2倍以上など非常に利便性の高いプロダクトとなっています。
4.GYRO/AXISリプレイスプロジェクトの開始
Cosmos利用前は買取および在庫管理にGYRO/AXISという基幹システムを利用していました。こちらのプロダクトに関しては、開発されてから数年が経過し、技術的負債や当時の開発者がもういないなど、開発速度を落とす要因になっていました。そこで、Cosmosへのリプレイスを本格的に開始しました。もちろんこの巨大なシステムをリプレイスするのは容易ではありません。しっかりとマイルストーンを設定して、鋭意プロジェクトを進めています。こちらのリプレイスプロジェクトについてはまた別途紹介していきたいと思います。
5.生成AIへの取り組み
2024年は生成AI業界のアップデートが非常に盛んな1年でした。バイセルでも「
BuySell Buddy」と呼ばれる生成AIプラットフォームを独自で開発したり、社内でも生成AIを活用する場面が増えました。
またプロダクトへの活用も一部で出てきており、生成AIを用いて切手の仕分けのDXを効率化する事例なども出てきました。来年以降も生成AIの波は続くものと予想されるため、バイセルでも積極的に生成AIの活用を進めていきたいと考えています。
研究開発(BuySell Research)
リユースに関する研究開発を行う組織として2024年1月15日に正式にBuySell Researchが始動しました。
今年の取り組み内容としてAI査定の特許出願や研究発表会、情報処理学会や人工知能学会、MIRUへの出展などBuySell Researchとしては新しいチャレンジを行うことができました。また研究テーマに関しても、AI査定以外にもセールストークの分析やマーケティングの最適化などのテーマにも新しく取り組んでいます。
エンジニア組織
今年はエンジニア組織にとっても大きな変化がありました。
1.新卒採用
バイセルでは今年も新卒エンジニア採用を積極的に行いました。
例年どおりだとサポーターズさんなどを利用して逆求人形式でのイベントに出るのですが、今年は逆求人イベントへの参加に加えて、初の試みとなる1day インターンシップも実施しました。
1day インターンシップの実施
忙しい学生達に限られた期間で、会社の魅力を知ってもらって、満足してもらうためにはどのような施策が最適だろうか?を考えた結果、今年は1dayインターンを複数回実施しました。
- インターンのコンテンツは会社説明、フロントエンド/バックエンドの実践型開発ワークショップ、CTOによる就活セミナーと学生のことを考えて密度高くコンテンツを企画
- 募集したところ非常に興味のある学生が多く、数百名との接触及び100名以上のエントリーがあった
- 実施後アンケートでの満足度は4.92(5段階中)と非常に好感触
- 12月現在、このインターンを経験した学生の本選考での内定者も数名でている
ということで非常に良い成果を出すことが出来ました。
2.中途採用
エンジニアの中途採用も年初に設定していた採用人数を承諾ベースでほぼ達成しました。とはいえ、まだまだ欲しいユーザー層の母集団形成には課題があり、来年以降も母集団形成に関しては様々なトライをしていこうと考えています。
リードタイム短縮および承諾率UP施策
中途エンジニア採用に関してはこちらの記事で紹介しているように、採用体制の見直しやフローの見直しをした結果、内定承諾社の一次面談からオファー面談までのリードタイム期間を平均29日まで短縮することができました。
承諾率をUPさせるためにも、全選考フローにて、フォローアップ面談を実施したことで、各選考フェーズの通過率をアップさせることができました。
とにかく全員でのフォロー戦略を実施、現場のメンバーと一緒にクロージング戦略を検討し続けました。オファー面談以外の個別アクションを実施、ランチ/飲み会食/懇親会誘致や現場メンバーとの面談やマネージャーとの1対1の面談、オファーレターとして活躍の期待値などを記載したオファー資料などを準備しました。
3.技術広報
技術広報まわりの取り組みも引き続き強化してきました。
体感としても、今年は面接や面談、勉強会などでバイセルのことを知ってくれているエンジニアの数がかなり増えたな、という手応えを感じています。
この2年間の取り組みについてはこちらの記事にまとまっていますので、ぜひ御覧ください。
テックブログ
テックブログWGを中心に、ドキュメントやフローの整備と各部の割り当て制を開始によって型化を促進し、テックブログ執筆を企業のカルチャーにするための第一歩を踏み出しました。ブログのレビューの負荷を軽減するために、生成AIを用いた内製のレビューツールを開発し、執筆・レビューにかかる時間を短縮したりしました。
カンファレンスでの企業スポンサー&ブース出展
今年はバイセル初となる学会や技術カンファレンスでのブース出展を実施しました。
バイセルらしさを表現するために「リユースお宝ガチャ」を実施、来場者の皆さんに楽しんでもらいつつ、バイセルの理解を深めてもらう工夫もしました。これによって認知拡大やXのフォロワーの獲得、カジュアル面談獲得をすることができました。
情シス/セキュリティ
ゼロトラストセキュリティの推進
2024年の情シスの取り組みに関しては、こちらの記事にてまとめていますが、ワークフローシステムをkickflowへ移管したことやゼロトラストセキュリティ施策(MFAと条件付きアクセスによる制御やセットアップ自動化)の検証が進みました。
またグループ会社が増えていくことでグループ全体でのセキュリティ体制の構築に関してもPMIが進みました。
全社リスクマネジメントの強化
全社のセキュリティの体制についても年初にセキュリティ担当の方が入社し、着々と整備が進みました。社内のリスクマネジメント体制の指標を示すSecure SketCHの点数は、600点台から約800点へと大きく向上しました。安定したISMSやPマークの運用に加えて、今年はCSIRTの体制構築も開始し、インシデント対応時のフローが整いつつあります。
外部企業を用いた脆弱性診断も実施し、プロダクトのセキュリティの強化も行いました。
具体的な取り組み内容についてはこちらの記事にてまとめています。
今年を振り返って
2024年はバイセルのエンジニア組織にとって、本当にいろんな変化があった1年でした。会社が大きく変化する状況に合わせて、目標を変えたり、組織を変える必要があり、その過程でうまくいかないことも沢山ありました。私自身マネージャーやメンバーとも衝突する場面も多々ありましたし、会社を離れていったメンバーも昨年よりは増えました。どうすればうまく戦略を伝えることができるのか、メンバーに理解してもらえるのか、悩んだ日々が続きました。
結果として、真摯にメンバーと向き合うことしか解決策はないのだと気付きました。
会話量を増やし、情報の透明性を確保し、とにかく思っていることや考えていることをを伝える、それを繰り返すうちにすこしずつ理解をしてもらえる。近道はなく、日々のコミュニケーションを積み重ねることが最善だと思いました。
マネージャー陣もこの変化に戸惑いながらもしっかりと変化に柔軟に対応してくれて、本当に感謝しています。
また、こうした環境の中で次世代のリーダーやマネージャーも続々と生まれてきています。この変化の大きい状況をむしろ楽しんで働いてくれているメンバーも沢山います。
ポジティブに、日々仕事に取り組んでいるメンバー達にはとても感謝しています。
バイセルのエンジニア組織はまだまだ成長途中であり、今後もいろんなトライをして失敗も沢山していくと思います。でもそんな失敗も許容できる組織でありたいし、来年以降も新しいチャレンジを沢山していきたいと思います。
前に進み続ける限り、理想の組織にはきっと到達できると信じています。
最後になりますが、来年もバイセルの成長を一緒に楽しみたいエンジニアを募集しています!